編著者紹介

田中純男(海量)

1946年生。真言宗豊山派総合研究院現代教化研究所所長。『死後の世界—インド・中国・日本の冥界信仰—』(編、東洋書林、2000年)、「古代インドの墓地」(同上)、「インドに〈仏〉を見る—玄奘『大唐西域記』を中心に」(高知尾仁編『人と表象』悠書館、2011年)、「葬送儀礼にみる死後の観念—古代インドの死者のゆくえ—」(渡会瑞顕編『十三仏の世界—追善供養の歴史・思想・文化—』ノンブル社、2012年)、「アショーカ王と舎利」(『豊山学報』五七、真言宗豊山派総合研究院、2014年)

執筆者紹介

小島恵良 1963年生。真言宗豊山派現代教化研究所常勤研究員。「香川県大島青松園を訪れて」(真言宗豊山派総合研究院現代教化研究所編『真言密教伝来一二〇〇年記念 現代教化文集 現代における仏教と教化』ノンブル社、2007年)、「十三仏関係参考文献目録」(『十三仏の世界』2012年)
池戸義久 1957年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員、豊山流大師講詠匠。「音楽と仏教」(『真言宗豊山派教化センター紀要』五、2000年)、「十三仏のご詠歌」(『十三仏の世界』2012年)
渡辺隆正 1980年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員。「無縁社会と次世代の寺院の役割」(『真言宗豊山派総合研究院紀要』一九、2014年)
吉田快應 1969年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員、理学療法士。「ストレス社会における真言読誦の役割について」(『教化センター参考資料⑬ 光明真言』真言宗豊山派教化センター、2010年)、「新四国霊場の概要と大師信仰」(『教化センター参考資料⑯ 南無大師遍照金剛』真言宗豊山派教化センター、2013年)
荒島聖宏 1946年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員。「『三教指帰』にみられる密教思想—吉慶讃を主とした典故論的一考察—」(『豊山学報』二八・二九、一九八五年〈品田聖宏〉)、「『三教指帰』にみられる対句表現—四六駢儷文の対句論的分析方法をめぐって—」(『豊山教学大会紀要』一六、一九八八年)、「『三教指帰』の諸問題」(『真言宗豊山派総合研究院紀要』一二、2007年)
三浦聖令 真言宗豊山派現代教化研究所研究員。「犯罪被害者遺族への支援に関する一考察」(『真言宗豊山派総合研究院紀要』一八、2013年)
加藤弘詔 1968年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員。「開いたメゾスコピック系の非平衡統計力学—久保公式・ランダウアー公式が突き当たった問題点—」(共著、『数理科学』2000年4月号、№442、サイエンス社)
浦澤精乗 1949年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員、司法書士。「悲しみの中でも必要な手続き」(『真言宗豊山派総合研究院紀要』一六、2011年)
松崎慈恵 1962年生。流通経済大学経済学部教授、真言宗豊山派現代教化研究所研究員。「現代日本社会における十三仏と追善供養—功利主義的考察—」(『十三仏の世界』2012年)、「新しい貯蓄理論と日本人の貯蓄動機」(諏訪貞夫編『日本経済の進歩と将来』成文堂、2007年)、「貯蓄の強迫観念と借金回避性の実施分析」(共著、『生活経済学研究』28、2008年)、「現代仏教経済倫理序説」(『真言宗豊山派総合研究院紀要』七、2002年)
寺山賢照 1976年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員、大正大学綜合佛教研究所研究員。「真言密教と「公益性」」(『豊山教学大会紀要』四一、2013年)、「大学沿革史にみる慰霊・追悼行事—戦時下宗教系大学を対象に—」(『豊山教学大会紀要』四四、2016年)
星野 壮(壮英) 1975年生。大正大学、こども教育宝仙大学講師、真言宗豊山派現代教化研究所研究員、南山大学南山宗教文化研究所研究員。「日系ブラジル人教会と信徒の今後—言語と信仰の継承をめぐって—」(三木英ほか編『日本に生きる移民たちの宗教生活—ニューカマーのもたらす宗教多元化—』ミネルヴァ書房、2012年)、「グローバル化する日本の宗教—日本宗教の海外進出と外来宗教の到来—」(高橋典史ほか編『宗教と社会のフロンティア—宗教社会学からみる現代日本—』勁草書房、2012年)
早川道雄 1961年生。種智院大学教授、真言宗豊山派現代教化研究所研究員。「『釈摩訶衍論』における無明について」(『善通寺教学振興会紀要』一九、2014年)、「三十三種法門の概要」(『密教学』五一、2015年)
佐藤好久 1949年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員。「愚考」(『現代における仏教と教化』2007年)、「『中論』考—現代教化における欺瞞性の問題—」(『真言宗豊山派総合研究院紀要』一五、2010年)、「聖なるものと俗なるもの(聖性の開眼)」(『教化センター参考資料⑭ 開眼』真言宗豊山派教化センター、2011年)
笹岡弘隆 1959年生。大正大学講師、真言宗豊山派現代教化研究所主任研究員。「日本における葬儀と墓と追善供養の歴史」(『十三仏の世界』2012年)、「長谷寺観音巡礼徳道上人」(小野塚幾澄・梅原猛著『古寺巡礼 奈良2 長谷寺』淡交社、2012年)
粕谷隆宣 1972年生。大正大学講師、真言宗豊山派総合研究院宗学研究所常勤研究員。「明恵と真言密教の関係—真言宗僧という観点から—」(『豊山教学大会紀要』二九、2001年)、「光明真言信仰の展開」(『教化センター参考資料⑬ 光明真言』真言宗豊山派教化センター、2010年)
田中文雄 194年生。東洋大学・國學院大学講師、真言宗豊山派現代教化研究所研究員。『仙境往来』(春秋社、2002年)、『道教の神々と祭り』(共編、大修館書店、2004年)、『道教と共生思想』(共編、大河書房、2009年)、「中国の死後世界と十王信仰」(『十三仏の世界』2012年)
白石凌海 1948年生。真言宗豊山派現代教化研究所研究員。『インド 死を生きる』(明石書店、一九九七年)、『ラメーシュのミルク』(ノンブル社、2000年)、『インド 輪廻に生きる—大沐浴祭—』(明石書店、2002年)、『仏陀を歩く』(講談社メチエ、2004年)、『仏陀 南伝の旅』(講談社メチエ、2010年)
高橋尚夫 1945年生。真言宗豊山派宗学研究所所長、大正大学名誉教授。『梵文和訳『維摩経』』(共著、春秋社、2011年)、『曼荼羅図典』(共著、大法輪閣、1993年)、『無言蔵大願著『梵学秘要篇』』(共著、ノンブル社、2012年)
野口圭也 1954年生。大正大学教授、大正大学綜合佛教研究所所長、真言宗豊山派現代教化研究所研究員。「初期密教経典としての『薬師経』」(『密教学研究』四四、2012年)、「毘盧遮那を中尊とするマンダラ・序論」(『加藤精一博士古稀記念論文集 真言密教と日本文化』ノンブル社、2007年)、「密教における智慧の具象化」(『日本佛教学会年報』七三、2007年)
守 祐順 1975年生。真言宗豊山派現代教化研究所常勤研究員。「世論調査に見る日本人の宗教的意識の変化と状況についての一考察」(『現代における仏教と教化』2007年)、「仏事における十三仏掛け軸について」(『十三仏の世界』2012年)
編集事務担当

 

釈迦信仰の世界

日本からインドにたどる 田中純男 編

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—目 次—

 Ⅰ 今に生きる釈迦  

花まつりと甘茶●小島恵良
涅槃会と「おはなくそ」●池戸義久
地名に見る釈迦信仰●渡辺隆正
涅槃会のだんごまき●吉田快應

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 Ⅱ 釈迦のちから  

三国伝来生身釈迦如来像●荒島聖宏
舎利という石●守 祐順
お釈迦さまの足あと—仏足石信仰—●三浦聖令
釈迦と神通力と科学●加藤弘詔
法律と戒律●浦澤精乗

 

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 Ⅲ 釈迦を信仰する心  

教えを求めて 河口慧海●松崎慈恵
仏教を弘めた実業家 沼田惠範●寺山賢照
原点と展開●星野 壮(壮英)
この世とかの世を捨てる●早川道雄
「今ここ」に新たなり●佐藤好久

 Ⅳ 釈迦とは誰か—日本・中国—  

日本における釈迦信仰●笹岡弘隆
明恵上人の釈迦信仰—我が哀恋の声を聴け—●粕谷隆宣
中国のシャカ歳時記●田中文雄

 Ⅴ 釈迦とは誰か—インド—  

仏跡—釈尊に見える—●白石凌海
密教経典と釈尊●高橋尚夫
仏像の誕生と釈迦信仰●野口圭也
釈尊と釈迦信仰●田中純男(海量)
 

  釈迦信仰ゆかりの地(日本・インド地図)

 

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“釈迦とは誰か”

この問いに答えるのはそう簡単ではない。人間釈迦については十分論究されてきた。しかし、釈迦をめぐる諸々の事象を総体的に論ずる試みは多くなされてきたとは言いがたい。……日本における習俗、風習と結びついた姿、日本人の崇敬の熱い眼差しを一身に受けた姿、釈迦の言葉に感銘を受けて一生をまっとうした人、こうした状況は中国、インドでも変わりがなかったようである。初期仏教の時代、ストゥーパや舎利(遺骨)が釈迦そのものとして崇拝されたが、大乗の時代になると釈迦は仏像として姿を現わす、釈迦ゆかりの地が巡礼の対象となり、釈迦の事跡が語りつがれるようになる、密教においても釈迦の説話が語られる。これらを考えると、人々の情念の内には、説話として語られる神話的な姿がいつも躍動していたとの感を深くする。……人間でありしかも人間を超えた存在でもあるという両義性を有する実在者、人間の目には見えないはずであったものが、何かの機縁によってわれわれの眼前に立ち現われてくる、彼岸にあって、しかも此岸にもある、いわば宇宙に遍満するがごとき存在者である。……ここではただ釈迦信仰の広大な世界に想いをはせ、先人たちの釈迦のイメージを共有したいと思う。田中純男「はしがき」より


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書評 仏教タイムス 2016.7.7

大法輪 2016.9

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