はじめに 宮本久義
Ⅰ キリスト教社会での共生の可能性と困難さ
教会に門松を立ててよいか—イエズス会のアジア布教における衝突・妥協・融合◇菊地章太
一、ひとつの質問から/二、異なる文化に入りこむ/三、現代日本につながるか/四、礼拝するのではない/五、身を切らずには……
レッシングの宗教思想—啓蒙思想との関わりから◇曽田長人
一、はじめに/二、ルター派の正統主義、理神論、レッシングの宗教観—『無名氏の断片』をめぐって/三、『賢者ナータン』における宗教思想—啓蒙思想との関わりから/四、結語
共生の形而上学◇永井 晋
一、形而上学としての共生思想/二、多神教から一神教へ—共生の発生/三、「形而上学とは何か」—ハイデガーの無の形而上学/四、レヴィナスの一/無限の形而上学/五、秘教的「共生の形而上学」
テロ時代の人道主義の可能性と限界—共生思想としての赤十字運動の視点から◇井上忠男
一、グローバリズムとアイデンティティ戦争/二、犠牲の構図と他者との繋がり/三、赤十字と普遍的人道の理念/四、共生社会の思想的基盤とは何か
Ⅱ イスラームと他宗教との共生
他者との共生とイスラーム◇鎌田 繁
一、ザーヒルの面について/二、バーティンの面について
偶像と多神教をめぐるイブン・アラビー—全体主義に抗うイスラームの思考について◇小野純一
一、はじめに/二、イブン・アラビーとイブン・タイミーヤの遺産/三、セルフ・オリエンタリズムと反セム主義的ステレオタイプ化/四、イブン・アラビーの偶像論/五、まとめ
現代イランにおける諸宗教の共生の実態と課題◇バフマン・ザキプール
一、はじめに/二、イランにおける諸宗教の共生に関する見解/三、イラン諸宗教の分類/四、イランの諸宗教における光と闇の形而上学
Ⅲ インドの宗教にみる共生
ジャイナ教における非暴力の哲学的正当化◇ジャンヤンドラ・ソーニー(翻訳:三澤祐嗣)
一、はじめに/二、インドにおける殺生と不殺生/三、ジャイナ教の形而上学的理論/四、殺生と不殺生の形而上学的実証/五、おわりに
異宗教間の〈境界〉と〈共生〉—インドのヒンドゥー教とイスラームについて◇橋本泰元
一、はじめに/二、一九九二年の暴動/三、北インド中世史における両宗教の「共生」/四、サントの伝統と思想/五、ヒンドゥー教とイスラームの「共生」—現代の事例/六、おわりに |
伝説のラーマ王国—ヒンドゥー教聖地の栄光と重荷◇宮本久義
一、はじめに/二、ラーム・リーラーとは/三、ラーム・リーラーの特徴/四、ガーンディーの政治理念との比較検討/五、ラーム・ラージヤをめぐるその後の状況/六、おわりに
Ⅳ 仏教の視点から共生を考える
「はいはい」の哲学—初期仏教からみた他者や他宗教との共生◇堀内俊郎
一、はじめに/二、初期仏教の基本的な考え方/三、無常・苦・無我/四、無我に基づく哲学/五、愛とは異なるものとしての慈悲/六、おわりに
大乗経典における慈悲と憐愍◇渡辺章悟
一、慈悲の定義(抜苦与楽)/二、三種の慈悲/三、慈悲とその訳語の語源分析/四、アヌカンパー(anukampå)の用例とその意義/五、まとめ
アメリカにおけるマインドフルネス・ブーム—現代社会への影響とその意義◇ケネス田中
一、アメリカ仏教の現状/二、背景・原因/三、「マインドフルネス」(mindfulness)という用語の由来/四、「マインドフルネス」の発展—初期/五、「マインドフルネス」の発展—ジョン・カバットジン/六、社会へのより広い応用/七、マインドフルネス・ブームの社会的意義
Ⅴ 日本における宗教の展開
選択から統合へ—日本中世仏教観の転換◇末木文美士
一、中世仏教の統合性/二、親鸞における統合性/三、統合型の宗教と現代
「神と仏の出逢う国」再考◇鎌田東二
一、春日大社の白漆喰磐座と興福寺と談山神社の墓および十三重の塔—「神と仏の出逢う国」再考の一視座として/二、春日大社摂社水谷神社本殿真下の白漆喰磐座と祇園社(八坂神社)の創建/三、春日大社若宮祭「おん祭」/四、世阿弥『風姿花伝』における神仏習合思想
Ⅵ 座談会
現代日本の宗教状況をどう考えるか
末木文美士・斎藤明・鎌田東二・司会 菊地章太
おわりに 堀内俊郎
編者紹介/執筆者紹介
索引 |